ヘルニア
腹部、腹壁におけるヘルニアという病気は、いわゆる、”脱腸”です。
その中でも①ソケイヘルニアと②腹壁瘢痕ヘルニアの二つが代表的な疾患です。
いずれも、腹壁の脆弱部分があり、そこに向けて腹腔内の圧力が腹膜を押し出すことにより、
腹膜がヘルニア嚢という、大きな袋を形成し、その袋の中に小腸や、大腸、大網といった臓器が入り込みつつ、袋ごと押し出す病気です。
悪性疾患ではありませんが、美容的な問題そして、時に腹部痛を生じるため、治療が必要となる場合があります。治療は手術が基本となります。
手術の方法は自分の筋肉や腱膜を縫い縮めて穴をふさぐ手術方法と、人口の網 (メッシュ)を用いて穴をふさぐ手術方法があります。
いずれの方法が良いかは、その場合によって異なりますので、最善と思われる手術法で行っています。
ヘルニア修復手術(UHS法)
人工の網(メッシュ)を用いてヘルニアを修復する手術法です。
最近では当院でヘルニアの手術を受けられる方の9割 がこの方法で手術を受けておられます。
このメッシュはポリプロピレンという材質で、メッシュは2つの部分からなっており、一つはヘルニアの穴 に栓をする部分と、
この栓が抜けないようにするフタの役割をする部分からできています。
手術はヘルニアの袋を切除して、ヘルニアの穴にメッシュの栓をし、さらにその上にメッシュのフタをする方法です。
合併症として一番やっかいなのが、創部感染による難治性膿瘍です。
発生頻度は0.3%くらいとほとんど起こらないのですが、人工膜を体内に留置するため、
ひとたびそこに感染が起こってしまうと、網の目状のメッシュの隙間に細菌が入り込み、
洗浄してもなかなか完治しないことがあり、その場合にはやむを得ず、留置したメッシュを取り除くことが必要となる場合があります。